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贈与税の税率を一覧で解説|計算方法と一般・特例の違い

梶原 誠一 / 更新:2026-06-24
贈与税の税率を一覧で解説|計算方法と一般・特例の違い
贈与税の税率は、相手が誰かと金額で変わります。結論を先に言うと、一般税率と特例税率の2種類があり、まず110万円を引いてから速算表に当てはめる。これだけ押さえれば、あなたのケースの税額はほぼ自分で出せます。

私は相続・贈与専門の税理士として15年、現場で贈与の申告を扱ってきました。この記事では、速算表の見方から計算例、2024年改正の影響、否認された失敗例まで、実務で詰まりやすいポイントを具体的な数字で説明します。

税率表を眺めるだけでは「自分はいくら払うのか」が見えてきません。だからこの記事は、金額を入れて計算する手順を中心に組み立てています。

贈与税の税率とは?まず結論から知る

贈与税の計算方法を税理士がわかりやすく解説【初心者向け】
贈与税の計算方法を税理士がわかりやすく解説【初心者向け】

贈与税の税率は、もらった財産そのものにかかるのではありません。1年分を合計し、110万円の基礎控除を引いた残りに対してかかります。国税庁もこの暦年課税を原則としています。

贈与税税率の基本的な考え方

贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間に受け取った財産を合計して計算します。ここから基礎控除110万円を差し引いた金額に税率を当てはめる、という流れです。

税率は超過累進課税。つまり、もらった金額が大きいほど税率も段階的に上がります。最高は55%です。

一般税率と特例税率の2種類がある理由

贈与税の速算表は2つあります。一般税率と特例税率です。

特例税率は、祖父母や親など直系尊属から、その年の1月1日時点で18歳以上の子・孫への贈与に使えます。親子間の財産移転を後押しするため、同じ金額でも一般税率より負担が軽くなる設計です。

それ以外、たとえば兄弟間や夫婦間、他人からの贈与は一般税率になります。ここを取り違えると税額が変わるので、最初に確認すべき分岐点です。

暦年課税制度のしくみ

暦年課税は、年間110万円以下なら贈与税がかからず、申告も不要です。これが基本のかたち。

110万円を超えた分にだけ税率がかかります。たとえば年間200万円もらっても、課税対象は90万円です。全額に税率がかかるわけではない、という点を勘違いしている人が本当に多い。

贈与税の税率表(速算表)と税額の計算方法

ここが本題です。計算式はシンプルで、「(贈与額-110万円)×税率-控除額」。この一本だけ覚えれば足ります。実際に表と例で見ていきましょう。

贈与税の税率表(速算表)と税額の計算方法

一般贈与財産用の速算表と計算例

兄弟間・夫婦間・他人からの贈与など、特例税率に当てはまらない場合に使う表です。

一般贈与財産用の速算表(基礎控除後の課税価格に適用)
出典:国税庁No.4408。課税価格は贈与額から110万円を引いた後の金額。
基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%0円
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

例として、兄から500万円をもらった場合を計算します。500万円-110万円=390万円。これは400万円以下なので税率20%、控除額25万円。

390万円×20%-25万円=53万円。これが納める贈与税です。

特例贈与財産用の速算表と計算例

親や祖父母から18歳以上の子・孫への贈与に使う表です。同じ金額でも控除額が大きく、税負担が軽くなります。

特例贈与財産用の速算表(基礎控除後の課税価格に適用)
出典:国税庁No.4408。直系尊属から18歳以上の子・孫への贈与に適用。
基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%0円
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1,000万円以下30%90万円
1,500万円以下40%190万円
3,000万円以下45%265万円
4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

同じ500万円でも、父から20歳の子への贈与なら計算が変わります。500万円-110万円=390万円。これは400万円以下で税率15%、控除額10万円。

390万円×15%-10万円=48万5,000円。一般税率の53万円より4万5,000円安い。誰からもらうかでこれだけ差が出ます。

一般と特例の両方が必要な場合の計算

1年の間に、父からの贈与(特例)と兄からの贈与(一般)の両方を受け取った年。このときは少し手間がかかります。

まず全部の贈与を合計し、それぞれの税率で全体の税額を出してから、贈与額の割合で按分する、という手順を踏みます。表を別々に当てはめるだけでは正しい税額になりません。

正直、この混在パターンは手計算でミスが出やすい部分です。金額が大きいなら、ここは税理士に確認することを勧めます。

基礎控除110万円の使い方

基礎控除110万円は、贈与者ごとではなく「もらった人1人につき年間110万円」です。父から100万円、母から100万円もらえば合計200万円で、110万円を超えた90万円が課税対象になります。

ここを「あげる人ごとに110万円」と誤解している人が多い。私の経験上、複数の親族からもらう年は要注意です。

相続時精算課税制度を選んだ場合の税率と特徴

暦年課税のほかに、相続時精算課税という選び方があります。2,500万円までの特別控除があり、超えた分は一律20%。まとまった額を一度に渡したいときに使われます。

相続時精算課税制度を選んだ場合の税率と特徴

相続時精算課税制度のしくみ

60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与で選べる制度です。選択した贈与者ごとに、累計2,500万円までは贈与税がかかりません。

2,500万円を超えた部分には一律20%の税率。ただし名前のとおり、贈与した財産は将来の相続時に相続財産へ加算して精算します。税金が消えるわけではなく、後ろにずれる制度だと理解してください。

年110万円の基礎控除(2024年新設)

2024年から、相続時精算課税にも年110万円の基礎控除が新設されました。これは大きな改正です。

この110万円以下の贈与は、申告も不要で、しかも将来の相続財産にも加算されません。従来は1円でも申告が必要でしたから、使い勝手が一気に上がりました。

暦年課税との有利不利の比較表

どちらが得かは、贈与の総額と期間で変わります。実務でよく聞かれる違いを表にしました。

暦年課税と相続時精算課税の主な違い
出典:国税庁No.4408をもとに整理。一度相続時精算課税を選ぶと暦年課税には戻せない。
項目暦年課税相続時精算課税
基礎控除年110万円年110万円(2024年新設)
特別控除なし累計2,500万円
税率10〜55%の累進2,500万円超は一律20%
相続時の加算2024年以降は最大7年分贈与額を加算(110万円控除分は除く)
制度の変更毎年選べる一度選ぶと暦年に戻せない

私の立場をはっきり言うと、コツコツ少額を長く渡せる家庭なら暦年課税、まとまった額を早く渡したい・相続まで時間がない人は相続時精算課税が候補です。どちらも一長一短で、家族構成と財産額しだいです。

税率が下がる・かからない非課税制度と特例

贈与税の実効税率
贈与税の実効税率

税率の前に、そもそも非課税にできる制度があります。使えるものを先に確認したほうが得です。年110万円の基礎控除に加えて、目的別の特例がいくつか用意されています。

配偶者控除(おしどり贈与)の要件

婚姻期間20年以上の夫婦間で、居住用不動産またはその購入資金を贈与した場合、基礎控除110万円とは別に最高2,000万円まで控除できる特例です。

注意点が一つ。この特例を使うには、贈与税がゼロでも申告が必須です。「税金がかからないから申告不要」と思い込んで使えなくなる、という失敗を何度も見てきました。

教育資金・結婚子育て資金の非課税制度

祖父母などから一括で教育資金を受け取る場合の非課税制度や、結婚・子育て資金の非課税制度があります。金融機関で専用口座を作り、領収書で使途を管理するのが基本の流れです。

ただし期限つきの制度で、使い切れずに残った分は課税対象になることがあります。制度ごとに上限額・対象範囲・期限が細かく決まっているので、利用前に最新の要件を必ず確認してください。

住宅取得等資金の非課税制度

父母や祖父母から、住宅の新築・取得・増改築のための資金をもらう場合の非課税制度です。住宅の性能や契約時期で非課税枠が変わります。

枠は改正で頻繁に動く分野です。金額をここで断定すると古い情報になりかねないので、申し込み時点の国税庁の最新案内で確認するのが安全です。

そもそも贈与税がかからない財産の具体例

見落とされがちですが、最初から贈与税の対象外になる財産があります。

親が子の生活費や学費を必要な都度払うもの、常識的な範囲の香典・祝い金・お見舞いなどです。これらは扶養義務の範囲や社会通念として非課税。仕送りや授業料の都度負担に税金はかかりません。

ただし、生活費名目で渡したお金を子が貯金や投資に回すと、その部分は贈与とみなされ得ます。「必要な都度」「使い切る」がキーワードです。

贈与税の申告手続きと納付・ペナルティ

税額を計算したら、次は申告と納付です。期限は原則として贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日まで。ここを過ぎるとペナルティが乗ります。

贈与税の申告手続きと納付・ペナルティ

申告書の書き方と添付書類・e-Tax対応

暦年課税なら贈与税申告書の第一表に、誰からいくらもらったか、特例税率か一般税率かを記入します。特例税率を使うときは、戸籍謄本など続柄を証明する書類の添付が要る場合があります。

提出はe-Taxが楽です。マイナンバーカードがあれば自宅から送信でき、添付書類もデータで出せます。私の実務でも、近年は紙より電子の比率が上がっています。

申告期限・納付期限と延納制度

申告と納付の期限はどちらも翌年3月15日です。一度に払えない場合は、要件を満たせば延納(分割払い)を申請できます。

延納には担保の提供や利子税が伴います。安易に頼るものではなく、まずは納付資金の準備を含めて贈与の計画を立てるべきです。

期限後申告・延滞税・加算税のリスク

期限を過ぎてから申告すると、本来の税額に加えて延滞税や無申告加算税がかかります。意図的に隠していたと判断されれば、さらに重い重加算税の対象になります。

「バレないだろう」は通用しません。少額でも、課税されるなら期限内に出す。これが結局いちばん安く済みます。

2024年改正で税負担はどう変わったか

2024年の改正は、贈与の進め方を根本から見直させる内容でした。柱は2つ。生前贈与加算が3年から7年に延びたこと、そして相続時精算課税に年110万円の基礎控除ができたことです。

2024年改正で税負担はどう変わったか

生前贈与加算が3年から7年へ延長

暦年課税で贈与した財産は、贈与者が亡くなる前の一定期間分を相続財産に加算します。この期間が3年から7年に延長されました。

つまり、亡くなる直前の駆け込み贈与は効果が薄くなったということ。早く始めるほど有利、という方向に制度が動いています。

相続時精算課税の基礎控除新設の影響

前述のとおり、相続時精算課税に年110万円の基礎控除ができました。この110万円分は相続財産に加算されません。

これにより、相続まで時間が短い高齢の親からの贈与では、相続時精算課税を選んで毎年110万円ずつ渡すほうが有利になるケースが増えました。改正前の常識が変わった部分です。

改正後の有利な贈与の進め方

私が今、相談を受けたときに最初に確認するのは「贈与者の年齢と健康状態」です。7年加算がある以上、若いうちからの暦年贈与は依然有効。

一方、高齢で相続が近い場合は、相続時精算課税の110万円枠を使う選択が現実的になりました。一律の正解はなく、年齢で戦略を切り替えるのが改正後の考え方です。

失敗事例から学ぶ税率計算と贈与の落とし穴

贈与税の計算方法とは!?5分で分かる税金の話!【税金】【税理士】
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税率を正しく計算しても、贈与そのものが否認されれば意味がありません。実務で実際に追徴された典型例を挙げます。

名義預金・贈与の事実認定で否認された例

よくあるのが名義預金です。親が子名義の口座にお金を入れていたが、通帳も印鑑も親が管理し、子は存在すら知らなかったケース。

これは「贈与が成立していない」と判断され、親の財産として相続税の対象にされます。贈与は、あげる・もらうの双方の合意があって初めて成立する。口座を作っただけでは贈与になりません。

対策は単純です。贈与契約書を作り、受贈者本人が管理する口座へ振り込み、通帳と印鑑も本人が持つ。この3点を揃えるだけで認定リスクは大きく下がります。

みなし贈与(低額譲受・債務免除)の見落とし

贈与のつもりがなくても課税される「みなし贈与」があります。時価より極端に安く財産を譲り受けた場合の差額や、借金を肩代わりしてもらった場合などです。

親子間で土地を相場の半額で売った、といったケースで後から課税されることがあります。身内だから安くしただけ、が通らない場面です。

税務署に把握されるしくみと調査リスク

「現金で渡せば分からない」と考える人がいますが、税務署は不動産の登記情報や保険金の支払調書、預金の動きなど複数の情報を突き合わせています。

特に相続が発生すると、過去の預金の流れまで調べられます。生前の不自然な資金移動はそこで浮かびます。隠す前提の贈与は勧めません。

税理士に相談すべきケースと費用感

自分でやれる範囲もあります。年間110万円以下の暦年贈与なら、契約書を整えれば専門家は不要なことが多い。

一方、一般と特例が混在する計算、相続時精算課税の選択、住宅取得資金の特例、まとまった額の贈与は、間違えると追徴の金額が大きい。こうしたケースは早めに税理士へ。費用は事務所により幅があるので、初回相談で見積もりを確認してから依頼するのが安全です。

贈与税の税率に関するよくある質問(FAQ)

よくある質問

贈与税の税率とは?
1年間に受け取った贈与を合計し、基礎控除110万円を引いた金額にかかる税率です。一般税率と特例税率の2種類があり、10%から最高55%までの超過累進課税です。直系尊属から18歳以上の子・孫への贈与には負担の軽い特例税率が使えます(出典:国税庁No.4408)。
贈与税税率の費用は、いくらの贈与でどれくらいかかる?
計算式は『(贈与額-110万円)×税率-控除額』です。たとえば父から子(20歳)へ500万円なら、390万円×15%-10万円=48万5,000円。同じ500万円でも兄からなら一般税率で53万円になります。年110万円以下なら税金はかからず申告も不要です。
贈与税の申告・納税の始め方は?
贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに、贈与税申告書を税務署へ提出し納付します。特例税率を使う場合は続柄を示す戸籍などの添付が必要になることがあります。提出はe-Taxが便利で、マイナンバーカードがあれば自宅から送信できます(出典:相続税申告相談センター)。

最後に一言。贈与税で損をする人の多くは、税率を間違えるより「贈与の事実を残していない」ことでつまずきます。まずは契約書を1枚作り、本人の口座へ振り込む。今日できるその一歩から始めてください。

贈与税の税率に関するよくある質問(FAQ)
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梶原 誠一

梶原 誠一

税理士(相続・贈与専門) ・ 相続案件の実務対応歴15年以上

税理士事務所での実務経験をもとに、生前贈与や相続税対策について制度の一次情報と実際の手続きを照らし合わせながら書いています。難解な税制をできるだけ具体的な数字と手順で伝えることを心がけています。

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