贈与契約書とは?作成する4つのメリットと必要性を解説

- 贈与契約は口頭でも成立するが、書面のない贈与は履行前ならいつでも解除できる(民法550条)。
- 贈与契約書に法定の様式はなく、手書きでもパソコン作成でも有効。
- 贈与税の基礎控除は年110万円で、超えた分に贈与税がかかる。
- 不動産の贈与は所有権移転登記が必要で、登録免許税がかかる。
- 契約書は2通作り、贈与する側・される側がそれぞれ保管するのが基本。
贈与契約書の結論

贈与契約書は「贈与が確かにあった」と証明する唯一の書面で、税務調査と相続トラブルの両方であなたを守る道具です。
私は相続・贈与の実務に15年以上関わってきました。正直に言うと、契約書を作らずに毎年お金を渡していた家庭が、相続のときに「これは名義預金だ」と税務署に指摘される場面を何度も見てきました。
贈与契約書1枚で防げたはずのトラブルです。だから私は、金額の大小にかかわらず作ることを勧めています。
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贈与契約書の作成は自分でもできますが、不動産や高額財産が絡む場合は税理士・司法書士に依頼するのが安全です。

このセクションは、専門家への相談窓口を案内する枠です。あなたの財産の種類(現金・不動産・株式)によって相談先が変わるので、後半の「プロに依頼すべき場合」も合わせて読んでください。
1.贈与契約書とは?作成する必要性と目的
贈与契約書とは、財産を無償で渡す側と受け取る側の合意を書面にしたものです。
民法549条では、贈与は当事者の一方が財産を無償で与える意思を示し、相手方が受諾することで成立すると定めています。つまり、書面がなくても口頭で契約は成立します。
では、なぜわざわざ書面にするのか。理由は民法550条にあります。書面によらない贈与は、まだ履行していない部分をいつでも解除できてしまうからです。
「あげると言ったけど、やっぱりやめた」が法律上できてしまう。これを防ぐのが契約書の役割です。
2.贈与契約書を作成する4つのメリット

贈与契約書の最大のメリットは「贈与があった事実」を客観的に残せることです。
具体的には、相続トラブルの防止、履行の証拠、税務調査対策、不動産登記の円滑化の4つに整理できます。それぞれ次の見出しで掘り下げます。
| メリット | 防げる主なリスク |
|---|---|
| 相続トラブル防止 | 相続人どうしの「もらった・もらってない」争い |
| 履行の証拠 | 履行前の一方的な解除(民法550条) |
| 税務調査対策 | 名義預金とみなされ相続税が課されること |
| 登記の円滑化 | 不動産の名義変更手続きの遅延 |
2-1.遺産相続トラブルを防止できる
贈与契約書があれば、相続発生後に「これは生前にもらったもの」と他の相続人へ証明できます。

実務でよくあるのが、親が一人の子だけに現金を渡していたケース。契約書がないと、他のきょうだいから「勝手に持ち出したのでは」と疑われます。
日付と金額が書かれた契約書が1枚あるだけで、この種の言い争いはかなり減ります。
2-2.贈与が履行された証拠になる
贈与契約書は、贈与が実際に行われたことを示す証拠になります。
前述のとおり、書面によらない贈与は履行前なら解除できます(民法550条)。逆に言えば、書面があり、かつ実際にお金が動いていれば、贈与は確定したものとして扱われます。
私が現場で必ず伝えるのは「契約書だけでなく、銀行振込で記録を残してください」ということ。手渡しの現金は証拠が弱いからです。
2-3.贈与税や相続税の税務調査対策になる

贈与契約書は、税務調査で「名義預金ではなく正式な贈与だ」と主張する根拠になります。
贈与税の基礎控除は年110万円です。1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与の合計が110万円以下なら、贈与税はかかりません。
ただし、毎年同じ額を機械的に渡していると「最初からまとまった額を渡す約束だった」と見られるリスクがあります。年ごとに契約書を作り、合意の都度の意思を残すことが対策になります。
2-4.不動産登記(名義変更)がスムーズになる
不動産を贈与する場合、贈与契約書は所有権移転登記の添付書類として実務上欠かせません。

不動産の贈与は、権利の移転を公示するために所有権移転登記を行います。この登記には登録免許税がかかり、税率は固定資産税評価額などを基準に計算します。
軽減措置の有無で税率が変わるため、申請前に法務局や最新の法令で確認してください。契約書の記載が曖昧だと、登記でつまずきます。
3.贈与契約書の作成手順
贈与契約書は、内容の確認→合意→2通作成→双方保管という4ステップで作ります。
難しい手続きではありません。下の表に流れをまとめました。
| ステップ | やること |
|---|---|
| ①確認 | 贈与する側・される側が贈与の内容を確認する |
| ②合意 | 贈与する日付・財産・方法に合意する |
| ③作成 | 同じ内容の契約書を2通作る |
| ④保管 | 双方が1通ずつ保管する |
STEP①贈与する側・される側が内容を確認する

最初のステップは、贈与する人と受け取る人の双方が「何を・いくら・いつ渡すか」を確認することです。
贈与は双方の合意で成立する契約です(民法549条)。受け取る側が知らない、納得していない贈与は成立しません。
特に未成年や高齢の親が関わる場合、本人が内容を理解しているかが後で問われます。ここを口頭だけで済ませない。
STEP②贈与する日付や内容に合意する
次のステップは、贈与の日付・財産の内容・受け渡し方法に具体的に合意し、それを契約書へ落とし込むことです。

日付は「令和7年◯月◯日」のように年月日まで明記します。金額は「金100万円」と単位まで正確に書く。不動産なら登記簿どおりの地番・面積を写します。
私の経験では、ここの数字や住所表記がいい加減だと、登記や申告で必ず差し戻されます。面倒でも正確に。
よくある質問
ここでは、贈与契約書について読者からよく寄せられる質問にまとめて答えます。
